

「事業が順調に伸びてきて、そろそろ1人では回せない!」
「そろそろ誰か雇わないと…」
初めて従業員を雇うときって、何から始めていいかわからないものですね。
今回は、初めて従業員を雇うときに必要となる社会保険手続きについて、説明します。
なお本記事の前提として、対象は個人事業主ではなく、一般的な法人で週40時間働く正社員を雇用したケースを前提とした内容で書いていきますので、ご了承ください。
それでは、始めていきましょう。
従業員を雇ったときに必要となる届け出は何があるの?
従業員を雇った場合、必要となる手続きは下記の3つです。
①労災保険の手続き
②雇用保険の手続き
③健康保険・厚生年金保険の手続き
それぞれ、解説していきます。
①労災保険の手続き
労災保険の概要
会社で働いている従業員が、業務中や通勤中にけが等をした場合に備えて、労災保険に加入します。万一、従業員が業務中にけがをした場合にも、労災保険から補償を受けることができるため、従業員も安心して治療に専念することができます。従業員を1人でも雇っている場合は、本手続きが必要になります。
労災保険の加入手続き
この労災保険の加入手続きがあります。具体的には、次の2つの手続きです。
まず「労災保険保険関係成立届」を保険関係が成立した日(多くは従業員を雇った日)から10日以内に、最寄りの労働基準監督署に提出します。「新しく従業員を雇ったので、労災保険を適用してください」という届け出です。
次に「労災保険保険関係成立届」に併せて「概算保険料申告書」というものを提出します。この労災保険の保険料は全額が事業主負担となっています。保険料は前払いとなっておりますので、当該年度の従業員に支払う賃金の総額に労災保険料率を乗じた額を申告し、納付します。保険関係成立届と同じく、保険関係が成立した日から、50日以内に「概算保険料申告書」を労働基準監督署に提出し、申告額を納付します。
②雇用保険の手続き
雇用保険の概要
雇用保険は、従業員が失業したときや新たに教育訓練という自己啓発を受けるための保険制度です。上記以外にも、育児休業や介護休業をしている時の一定の給与額の補助などの制度があります。週の労働時間が20時間を超える労働者がいる場合は、雇用保険に加入させる必要があります。
雇用保険の加入手続き
雇用保険の加入には、事業所の加入と従業員の加入の2つの手続きがあります。
事業所の加入には、「雇用保険適用事業所設置届」を最寄りの公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。必ず上記の、労災保険の成立手続きを行った後に、行ってください。提出期限は、設置の日の翌日から10日以内です。
従業員の加入には、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。各従業員の氏名や生年月日、雇い入れ日を記入し、加入日の翌月10日までに最寄りの公共職業安定所に提出します。
③健康保険・厚生年金保険の手続き
健康保険の概要
健康保険は、皆さんに一番なじみの深いものではないでしょうか。病院に行ったときに、保険証を出す行為は、日本では当たり前となっています。それだけではなく、私傷病が原因で仕事を休んだ場合の手当金や出産の時の手当金、医療費が高額になった際に一定額以上の自己負担金を免除する仕組みなど、日本の健康保険は世界と比べてもかなり手厚い補償があります。
厚生年金保険の概要
イメージしやすいのは、65歳になってもらえる老齢厚生年金でしょう。それ以外にも、一定の障害状態になったときに受け取れる障害厚生年金や遺族となったときに受け取れる遺族厚生年金があります。厚生年金保険は受給する際、国民年金と併せて受給できるため、働く人にとっては、ありがたい制度となっています。「2,000万円問題」が取り沙汰される中ですが、もはや労働者にはあって当たり前の制度となっています。
健康保険・厚生年金保険の加入手続き
一般的な法人の場合、健康保険と厚生年金保険は同時に手続きを行います。
雇用保険同様、事業所と従業員の加入の2つの手続きが必要です。
まず事業所の加入手続きには、「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を最寄りの年金事務所又は当年金事務所を管轄する事務センターに持参・郵送します。期限は事実の発生から5日以内です。
その後、従業員の加入手続きとして、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を提出します。正社員はもちろん、パート・アルバイトであっても、正社員の所定労働時間の4分の3以上働く人は、被保険者になります。
この、健康保険・厚生年金保険の手続きは、法人となったときに、代表者が既に加入し、新規適用の手続きが済んでいることもありますので、その際は、新たに従業員の加入手続きのみを行ってください。
まとめ【従業員を雇ったときの、社会保険手続きは大きく3つ】
いかがでしたでしょうか。
従業員を雇うときの手続きは、大きく分けて、下記の3つとなります。
①労災保険の手続き
②雇用保険の手続き
③健康保険・厚生年金保険の手続き
それぞれの概要を見ながら、従業員の方のためにも適切な処理を行ってください。
本日は以上となります。
参考URL:
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/daijin/hoken/980916_2.htm
厚生労働省:労働保険の成立手続


exillia accounting officeの税理士・公認会計士です。
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