従業員を新たに雇用した場合には、入社時において社会保険や雇用保険の加入手続きや所得税や住民税の手続きを行う必要があります。
以下では、これらの手続きを行うにあたって、どういった書類を準備して、いつまでにどこへ提出すべきなのかといったことについて解説していきたいと思います。
雇用した際の必要書類について
従業員を新たに雇用した際に必要となる書類は、下記の通りです。
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 従業員の住民票
- 給与所得者の扶養控除等申告書
- マイナンバー
- 健康診断書
上記書類が一般的には必要となります。
なお、中途採用をした従業員の場合には、前職の源泉徴収票が必要になります。
上記書類の他、従業員と使用者との間で労働契約を交わすにあたり重要になる書類が、雇用契約書や労働条件通知書になります。
雇用契約書も労働条件通知書も、従業員と使用者間において労働に関するルールなどが記載されているものになりますが、両者の違いとしては、雇用契約書は従業員と使用者とがそれぞれ署名、押印する必要があるのに対して、労働条件通知書は従業員へ使用者が労働に関する条件を開示しているものであることから、署名、押印は使用者のみで足りております。
新たに従業員を雇用した場合には、雇用契約書もしくは労働条件通知書のいずれかを従業員へ開示する必要があります。
社会保険や労働保険に加入する人とは
社会保険や労働保険に加入する基準としては、正社員、パートタイマーといった呼称ではなく、労働時間、雇用形態を主とする就労の実態で判断します。
なお、国籍の如何を問わず、外国人でも上記就労の実態で判断します。
次に社会保険の加入基準について解説いたします。
①健康保険・厚生年金の場合
次のどちらの条件を満たす場合には、常用的に雇用関係があるとみなされ、社会保険に加入する必要があります。
- 1週間の所定労働時間が、その事業所で同じ種類の業務に従事する一般従業員の所定労働時間の4分の3以上の者。
- 1ヵ月の所定労働日数が、その事業所で同種の業務に従事する一般従業員の所定労働日数の4分の3以上の者。
②労災保険の場合
労働時間がどんなに短いアルバイトでも、労災は適用となります。
労災保険は、個々の従業員について加入手続きは不要です。
③雇用保険の場合
次のどちらの条件も満たす場合には加入が必要となります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
- 31日以上の雇用見込みがあること。
社会保険や労働保険の加入手続き
社会保険へ加入するための手続きは、新しく従業員を雇用した日から5日以内に管轄の年金事務所で行います。
加入時に提出する書類は、健康保険・厚生年金被保険者資格取得届になります。
なお、扶養家族がいる場合には健康保険被扶養者異動届を提出する必要があります。
また、扶養家族のうち20歳以上60歳未満の配偶者がいる場合には、国民年金第3号被保険者関係届を提出する必要があります。
年金手帳を紛失している場合には、年金手帳再交付申請書を提出する必要があります。
労働保険の加入手続きについては、手続きの順序があります。
まず、労災保険の手続きを完了した後に、雇用保険の手続きを行います。
労災保険→雇用保険の順に手続きをしないと、手続きを完了することができません。
労災保険の手続きとして、保険関係成立届と概算・増加概算・確定保険料申告書を管轄の労働基準監督署に提出します。
そうすると、労働保険番号が振り出されます。
この労働保険番号は事業所ごとに振り出される番号で、今後の給付申請や諸手続きの際に必要となる大切な番号になります。
雇用保険の手続きは、労災保険の手続きで振り出された労働保険番号を、雇用保険適用事業所設置届に記載して、管轄のハローワークに提出します。
同時に雇用保険被保険者資格取得届を提出し、従業員の加入手続きも行います。
手続き後には、事業所番号が記載された雇用保険適用事業所設置届事業主控えが発行されます。
こちらも、今後の雇用保険の諸手続の際に必要となる大切な番号となります。
従業員を雇用した際の所得税・住民税の手続き
社会保険や労働保険の手続きが完了したら、次に税金に関する手続きが必要になります。
税金に関する手続きとしては、所得税に関する手続きと住民税に関する手続きがあります。
まず、所得税の手続きとしては、従業員が入社した際には、従業員の給料から毎月差し引く源泉所得税を計算するために、給与所得者の扶養控除等申告書を提出してもらう必要があります。
事業主側では、それに基づいて源泉徴収簿の作成をします。
住民税の手続きについて、住民税は、前年の所得に対して課税されるため、前年の所得がない場合には、入社してから翌年の5月末まで住民税は発生しません。
前職がある場合は、従業員の住民税の納付方法が、普通徴収か、特別徴収かにより、必要な手続きが異なります。
現在、普通徴収により納付している場合には、会社で新たに特別徴収を行う場合には、未使用の住民税の納付書もしくは納付済みの領収書と特別徴収への切替申請書を管轄の市区町村が定めている期限までに提出する必要があります。
一方で、現在、特別徴収により納付しており、継続して特別徴収を希望する場合には、特別徴収にかかる給与所得者異動届出書を管轄の各市区町村の定めている期限までに提出します。
まとめ
新たに従業員を雇用した場合には、労働条件を明示する事の他に、社会保険や労働保険、所得税や住民税などの手続きが必要になってくるので、各書類を提出期限までに申請するようにしましょう。
exillia accounting officeの税理士・公認会計士です。
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