Image

青色申告承認申請書の書き方

2022年8月31日

青色申告は納税者の記帳慣行を育成し、申告納税制度の発展に資するために設けられており、一般の記帳より水準の高い記帳をし、その帳簿に基づいて正しい申告をする人については、有利な取り扱いが受けられると言う制度です。

今回はこの青色申告の適用を受けるための青色申告承認申請書の書き方及び青色申告のメリットについて解説します。

法人の場合

承認申請

青色申告の承認を受けようとする法人は、その事業年度開始の日の前日までに、一定の事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

ただし、新設法人等の場合の申請書の提出期限は、その設立等の日以後3月を経過した日とその設立等の日の属する事業年度終了の日とのいずれか早い日の前日までです。

帳簿書類

青色申告法人は一定の帳簿書類を備え付けて、これにその取引を記録しその帳簿書類を原則として7年間保存しなければなりません。

青色申告の特典

青色申告の法人税法上の特典には主に次のようなものが挙げられます。

①青色欠損金の繰越控除

欠損金が発生した日から10年間繰り越すことができます。ただし、この規定を受けるためには欠損金額の生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出し、その後連続して確定申告書を提出していなければなりません。

②青色申告の繰戻還付

欠損金が生じた時、すでに納付した法人税額のうち一定の金額の還付を請求できる制度です。

・青色申告の承認の取り消し

次に掲げる事実があった場合には、その事実があった事業年度までさかのぼって青色申告の承認は取り消され、青色申告の特典を使用できなくなります。

・帳簿書類の備え付け、記録又は保存が財務省令で定めるところによって行われていない場合

・帳簿書類に係る税務署長の指示に従わなかった場合

・帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は記録した場合など

所得税法の場合

青色申告承認申請書

青色申告をするためには、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

なお、1月16日以後に新たに開業した人は、

の日から2カ月以内に申請すれば良いことになっています。

青色申告の特典

青色申告の所得税法上の特典にはいろいろなものがありますが、主なものとして次のようなものがあります。

①青色申告特別控除

青色申告だけに認められている特別控除です。

青色申告にするだけで650,000円(または10万円)の控除があります。

ただし、650,000円の控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 不動産所得または事業所得を生み出す事業を営んでいる青色申告者であること。
  • これらの所得の金額に係る取引を正規の簿記の原則により記帳していること。
  • その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書を確定申告書に添付していること。
  • 確定申告書を期限内に提出すること。

上記以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて最高100,000円が控除されます。

  • その年の所得税確定申告書、貸借対照表及び損益計算書の提出をe-Taxによる国税電子申告・納税システムを利用して期限内に提出すること。

上記要件のうち、e-Taxによる国税電子申告・納税システムを利用せずに紙による提出の場合には、青色申告特別控除は550,000円となる点に注意が必要です。

②青色事業専従者給与

青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業にもっぱら従事している人に支払った給与は、届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば必要経費として認めると言うものです。

ただし、青色事業専従者として給与の支払いを受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれないので注意が必要です。

③貸倒引当金

一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の計上は個別評価金銭債権等に係る貸倒引当金とは異なり、青色申告者にのみ認められております。

④純損失の繰り戻し

その年に純損失が生じ、その前年は納税をしている場合において適用可能な純損失の繰り戻しによる所得税の還付請求も青色申告者にのみ認められています。

青色申告承認申請書の書き方

青色申告承認申請書の書き方としては、基本的には書類に記載されている内容通りに記載すれば簡単に作成が可能となります。

記載する項目としては、住所地や事業者氏名、所得の種類等を記載すれば作成が可能となります。

まとめ

昔は青色申告と白色申告を比較した場合、白色申告の場合には帳簿の添付は不要でしたが、現在は青色申告と同様に必要となっております。

そのため、白色申告でも帳簿の添付を求められるのであればわざわざ白色申告を選択するメリットはありません。

青色申告承認申請書は、法人の場合や個人事業主の場合それぞれに上述したメリットがあるため、設立時や開業時などにおいては青色申告承認申請書の提出をした方が、納税を考えた場合でも有利に働くため必ず所轄税務署長へ提出するように対応しましょう。

投稿者
Image
新川 尚

exillia accounting officeの税理士・公認会計士です。
税務、コンサルティングに関するコラムや、
おすすめのモノ・サービスなどの紹介コラムを更新していきます。