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払いすぎた税金を取り戻そう!更正の請求について

2022年8月13日

所得税や法人税、相続税などを納める際には必ず税額を計算した税務申告書を決められた提出期限内に納付する必要があります。

提出期限内に税務申告書を提出しているが、その申告書に記載された税額が誤っているケースも考えられます。

実際の納税額より多い、もしくは少ない税額を納付している場合には差額分を税務署から返金してもらう、もしくは納付する必要があります。

今回は前者の差額分を返金してもらう、すなわち還付してもらう手続きである「更正の請求」について解説していきたいと思います。

更正の請求とは

更正の請求とは、既に申告期限内に提出した税務申告書に記載してある税額が多く計上されている場合、または申告書に記載されている還付税額よりも少ない還付税額が記載されている場合に、所轄税務署へ税金の減額または還付を求める手続きになります。

例えば以下のような場合に更正の請求を行い、払い過ぎた税金を還付してもらう必要があります。

  • 50万円の法人税を納付したが、実際には40万円の納税で収まっていたケース。
  • 20万円の所得税が還付される申告書を提出したが、経費の計上漏れがあったため、正しくは30万円の還付になったケース。

上記のような場合に該当していれば、所轄税務署へ更正の請求書を提出する必要があります。

更正の請求が認められる期間について

更正の請求はもともと法定申告期限から1年以内に提出する必要がありました。

しかし、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税については、法定申告期限から原則として5年に延長が決定されました。

年間を通じていつでも更正の請求を行うことが出来るため、上述したように税金を多く払いすぎた場合や還付税額が本来の金額より少なかったことに気付いた場合には、忘れる前にすぐに更正の請求を行うことをおすすめ致します。

また、上記期限内に更正の請求を実施した場合、内容によっては税務調査で更正の請求をした理由について問われるケースもあります。

更正の請求に必要な添付書類

更正の請求を実際に行うにあたって、いくつか必要書類があります。

具体的には下記の通りです。

  • 確定申告書の控え

更正の請求を行うにあたり、対象となる年度の確定申告書を税務署へ提出する必要はありませんが、更正の請求書を作成するにあたって必要となるため、準備しておく必要があります。

  • 更正の請求書

更正の請求書は税務署へ提出する必要があります。

こちらについては、更正の請求を行う税金の種類ごとに様式が異なっているため、対象の税金にあった更正の請求書を作成する必要があります。

  • 更正の請求をすることになった証票書類

更正の請求を行う理由は経費の計上漏れ、寄付金の控除漏れなど、税金の種類などによっても様々な理由が考えられます。

どういった理由で更正の請求を行うことになったのか、その事を証明できる書類を添付する必要があります。

  • 本人である事を確認出来る書類

更正の請求を行う本人が確認出来る書類を添付する必要があります。

具体例には、マイナンバーカードや運転免許証のコピーを添付する必要があります。

更正の請求を行う具体例について

更正の請求を行う事になった具体例を下記で紹介いたします。

  • 売上の2重計上により納付税額を多く納めてしまったケース
  • 実際に支払っていた経費の計上漏れが発覚したケース
  • 医療費控除や寄附金控除を受けることが出来たのに適用するのを失念していたケース
  • 消費税の税区分が誤っていた為に納付税額を多く納めてしまっていたケース

以上のような場合に更正の請求を行う必要があります。

更正の請求、修正申告、訂正申告の違いについて

更生の請求

更生の請求とは上述したように、納税義務者が既に申告期限内に税務申告書を提出したところ、実際に支払うべき納税額より多く納め過ぎてしまった場合、または実際に還付された税額よりも少ない税額が還付された場合に、所轄税務署へ更正の請求書を法定申告期限から5年以内に税務署へ提出すれば税金が戻ってくるというものです。

修正申告

修正申告とは、更正の請求とは逆の考え方であり、更正の請求が実際の納税額よりも多く支払ったために税金を減額する手続きに対して、修正申告は実際の納税額よりも少ない税額を支払ったため、追加で納税額を支払うというものになります。

修正申告の納付期限は、修正申告書を提出する日までに納める必要があります。

なお、法定納期限(令和3年分の所得税及び復興特別所得税並びに贈与税は令和4年3月15日、消費税は令和4年3月31日)の翌日から納付する日までの期間については、別途延滞税がかかることに注意が必要です。

訂正申告

訂正申告とは、更正の請求や修正申告が既に納期限を過ぎているのとは異なり、納期限内に修正したものを提出し直すというものになります。

訂正申告であることを分かりやすくするために、表題の余白に赤字で「訂正申告」と記載し、さらに訂正前の確定申告書の提出年月日と申告税額を赤で書いておくとよいです。

まとめ

今回は更正の請求について解説しました。

税務署は多く支払っていた場合に、納税義務者に連絡してくる事はありません。

そのため申告した後に税金を多く納め過ぎていないか確認する事も重要になります。

更正の請求は納期限から5年以内までなら認められますが、多く納めていた事に気付いた際にはすぐに手続きする事をおすすめします。

投稿者
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新川 尚

exillia accounting officeの税理士・公認会計士です。
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