定款とは会社の基本情報や規則などといったルールを記載する書類になります。
株式会社を設立するにあたり、発起人は定款を作成しなければならず、作成された定款に発起人全員が記名押印する必要があります。
また定款には実印で押印する必要があります。
定款に記載すべき内容は法律で定められており、記載漏れがある場合には、受理されません。
今回は会社設立にあたって、重要な書類である定款について解説していきたいと思います。
定款の記載事項
絶対的記載事項
必ず定款に記載しなければならない事項を、絶対的記載事項といいます。
絶対的記載事項として定められている事項は次の通りです。
- ①目的
- ②商号
- ③本店の所在地
- ④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
- ⑤発起人の氏名又は名称及び住所
①について、会社が活動するためには、その活動できる範囲を決める必要があります。活動できる範囲を決めて、それを会社の目的として表示しなければなりません。
②について、会社の名称のことを商号といいます。会社を設立する際、商号を決める事はとても大切な作業です。
③の本店所在地は、定款に町名や地番までは記載する必要はありません。
最小行政区画までを記載すればよく、「東京都渋谷区」や「大阪市」までの記載で問題ありません。
④の設立に際して出資される財産の価額又はその最低額に関しては、資本金の額とする予定金額を記載します。
注意点として、記載された金額よりも少ない金額しか出資出来なかった場合には、設立手続きを進めることができません。
⑤の発起人の氏名又は名称及び住所に関しては、出資する人が発起人となりますので、その人の氏名及び住所を記載します。
相対的記載事項
定款に記載しなければ、効力を有しない事項を、相対的記載事項といいます。
相対的記載事項として主に定められているのは以下の通りです。
①現物出資する者がいる場合
金銭以外の財産を会社に出資することを現物出資といいます。
会社設立にあたり、現物出資する者がいる場合には定款に次の事項を記載する必要があります。
- 現物出資する者の氏名
- 現物出資する財産
- 現物出資する財産の価額
- 現物出資する者に対して割り当てる設立時の発行株式数
②株式会社成立後に譲り受けることを約束している財産がある場合
会社成立前から発起人が会社のために会社の成立を停止条件として財産を譲り受けすることを約束している場合には、その財産について、定款に次の事項の記載がない場合、その譲り受けの契約は無効となります。
- 会社成立後、譲り受けることを約束した財産
- 会社成立後、譲り受けることを約束した財産の価額
- その財産を会社に譲り渡す人の氏名
③発起人が受ける報酬や、特別の利益
発起人が発起人としての業務に対する報酬を受領する場合や、特別の利益を受ける場合は、定款に定めなければ効力を有しません。
④株式会社の負担する設立に関する費用
設立手続きに関して、会社が負担する費用がある場合は、定款に記載しなければ効力を有しません。
ただし、次の項目については、定款に記載する必要はありません。
- 定款に貼付する印紙代
- 銀行への手数料
- 検査役の報酬
- 設立登記の登録免許税
発起人全員で定める事項
定款には、法律上定款に記載することが要求されている事項のほかに、発起人全員で定めることとされている事項を記載する場合が多くあります。
定款は発起人で作成するものですので、発起人が既に決定した事項を定款に記載しておくことにより、設立登記申請の際に、別途、発起人の同意書等の書類を作成する必要がなく、書類作成の手間を省くことができます。
- 発起人が割り当てを受ける設立時発行株式の数
- 設立時株式のために払い込みをすべき金額
- 資本金及び資本準備金の額
- 発行可能株式の総数
発行可能株式の総数に関しては、設立予定の会社が公開会社である場合は、設立時発行株式の総数の4倍を超えて定めることはできません。
これらの事項の他にも、会社法の規定に違反しない事項を定款に記載することも認められています。
設立時取締役や設立時監査役、取締役や監査役の任期、基準日、公告の方法等を定款で定めておくケースが多いです。
なお、基準日を定款で定めた場合は、基準日公告をする必要がなくなります。また、公告の方法について定款で定めていない場合は、会社の公告の方法を、官報に掲載すると定めているものとみなされます。
検査役の調査
原則、定款に現物出資財産等の会社法第28条各号に定める事項が記載されている場合は、定款の認証を受けた後速やかに裁判所に検査役の選任申し立てをし、その記載事項につき選任された検査役の調査を受ける必要があります。
ただし、例外的に現物出資財産または会社成立後に譲り受けすることを約束した財産の価額として定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合等に該当すれば、検査役の調査を受ける必要はありません。
定款の認証
発起人が作成した定款は、公証人の認証を受けなければなりません。公証人の認証が必要となるのは、設立時の定款のみになります。
設立後に定款変更し、新たに定款を作成する場合には、定款に、現在の定款に相違ない旨を記載し、会社の実印を押印した会社の証明で足ります。
設立時定款の認証は、本店所在地を管轄する法務局又は地方法務局所属の公証人に依頼します。
定款の保存期間
定款は、会社に1部、公証役場で受理されたものが1部、保存されています。
定款の保存期間は承認された日から20年間、公証役場で保存されます。
また、会社の定款は会社が存続している限りは、永久に保管しておく必要があります。
まとめ
以上が、定款の作成方法になります。
定款は絶対的記載事項と相対的記載事項とがあり、発起人が上記内容を定款上記載するとともに、最終的に認められる定款とするためには、法務局や交渉人などから定款の認証を受ける必要があります。
exillia accounting officeの税理士・公認会計士です。
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